参考資料-自然界の酸化還元サイクル

微生物に依存する窒素循環

植物は、窒素固定(原核生物-古細菌)によって大気中の窒素を利用します。
窒素固定生物は、窒素ガスをアンモニウムイオンに変換する酵素(ニトロゲナーゼは地球全体で数キロしか存在しない)を利用します。
土中の有機窒素とアンモニウム窒素は、土中微生物によって硝酸塩に変えられ、その大半は海に流出します。流出した硝酸塩は、脱窒素細菌によって、窒素ガスに戻されます。窒素循環サイクルは、発生も吸収も微生物に依存しています。
光合成は30億年前、窒素固定は10億年前に始ったと推測されます。しかし、20世紀後半に微生物による大気中の窒素循環サイクルは激変します。

人類は、人工的な窒素固定法(ハーバー法)を確立しました。500度以上の高温と数百気圧の圧力で窒素を固定します。窒素肥料、火薬の原料など幅広い用途に利用されています。人工的な窒素固定製品は、微生物が数十億年かけて作り上げた窒素循環サイクルに割り込みました。しかし農業目的の場合、植物に吸収されるのは1/3。残りは硝酸塩となって、河川や海洋に流出します。過剰な硝酸塩は脱窒素細菌の奮闘に期待?するしかありません。
高濃度窒素を含んだ水は、生物にとって危険極まりないのは言うまでもありません。河川、海洋は富栄養化・腐敗を招き、酸欠で生物は死滅します。世界でもっとも汚染が深刻なのはカルフォルニア湾。しかし、同様の汚染は今や世界中の沿岸を急速に死滅させています。

問題となるのは硝酸塩だけではありません。循環サイクルの過程で二酸化窒素も微量に発生します。二酸化窒素はオゾン層の破壊、酸性雨、さらに二酸化炭素の200倍もの温室効果をもたらします。
窒素サイクルに限れば、発生と吸収のバランスが人工的な窒素固定の副産物の大量流出によって劇的に崩れています。
窒素酸化物、メタンは、二酸化炭素と同様に、オゾン層の破壊、酸性雨、温室効果をもたらす3大要因です。自然界のメタン生成は、メタン生成微生物(古細菌の仲間)が生成します。メタン生成微生物は酸素の少ない環境、水田や埋め立て地が増えるとともに急激に増加しています。増加は加速度的な数値。しかし、人工的にも、自然サイクルの中でも明確な吸収方法は分かりません。所在の分らないメタン吸収微生物の奮闘に期待?するしかありません。

大気の組成を維持しているのは、光合成と窒素固定。いずれも、微生物や植物に依存しています。このまま、大量流出を続けたらどうなるのか?現代科学は、何も答えられません。
化石燃料を燃やし続ければ大量の副産物(酸化物質)が大気中に放出されます。自然界の循環バランスを遥かに上回る大量の酸化物質。たくさんの植物を植えて、二酸化炭素の吸収を促進する。土壌を過度に掘り起こさず土中に植物を戻し完全分解を促す。植林や有機農業の取り組みは重要です。しかし、地球全体の循環マトリックスから見れば、気休めに過ぎないと言う研究報告があります。人間はどこまで楽観的に生きればいいのでしょうか?

植林地や有機農業の現場に酸性雨が降ります。ある種の微生物は死滅し、ある種の微生物が増殖します。未だ発見されていない貴重な酵素を用いる微生物が死滅するかも知れません。酸性雨の一部は肥料になっても、微生物相が変われば、微生物との共生でしか吸収できないミネラルなどの微量栄養素が枯渇して、植物も樹木も病原菌やウィルス、環境ストレスに太刀打ちできずに枯れてしまいます。

地球はこれから、100億人の食糧を賄わなければなりません。しかし、地球の循環を知らず、ひたすら酸化物質を放出すれば、産業や経済などと言うミクロな利益に目を奪われて、肝心の土台を取り崩す結果を招きます。人間も、地球循環の一部です。他の生物と同様に、酸化した空気を肺でろ過しています。

人間が暮らす室内のイオンバランスを200年前の空気環境に近づけてください。 e-ブレスは一定空間内の空気を酸化還元します。まず、みなさんのご家庭から始めてください。

   
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